【実話】親愛なる幸せへの回り道
後ろを見ると、
まだ炎は姿を
あらわしてはいなかった。
『…くそっ。』
陵は思いっきり
ドアに体当たりを始めた。
『陵っ!』
『…っ大丈夫だから。
後ろ見てて。』
『分かった。』
しばらく陵は続けたが、
やっぱりドアはあかない。
『うっ…』
『大丈夫かっ!?』
『うん…大丈夫』
煙もガスも
まわってきている。
でもまた
入口に戻るなんてことは
できないだろう。
その間に
焼け死んでしまうだろうから。
だから
私達が助かるためには
もうこのドアがあくしかないのだ。