【実話】親愛なる幸せへの回り道
とっさに
私は目を瞑った。
『あっ…上村だっけか。』
『…はい。』
…陵…
あなたも無事だったんだね。
よかった。
『…さんきゅな。』
『…?』
『…こいつを…守ってくれて。』
…!?
『…いえ。』
『…ありがとう。
じゃ、俺はそろそろ帰るから。
真里も、
起きた時におまえがいた方が
いいだろうし。』
『…はい。』
そういうと
幸の手は私から離れた。
優しく包まれていたのが
急になくなった。
『…じゃぁ。』
そう言って幸は
帰ろうとした。
そのとき。