【実話】親愛なる幸せへの回り道


授業の半分が終わったあたりで

先生はいきなり

電話をかけはじめた。




『…もしもし…あっ…

うんうん…

でね…ちょっと今日

授業できない??…

よかった…ありがとう

…じゃ…』



そして携帯をパタンと閉じた。


『えっと…

私がこんな状況なので

今から他の先生に

来てもらいます…

彼は今丁度

このへんにいたようだから

よかった…』





この塾は

この先生しか

先生がいないから

誰か知り合いにでも

頼んだのだろう。






『…名前は

なんて言ったかしら…確か…』














『寺山幸です。

よろしくお願いします。』








教室のドアのところに立った…









…幸がいた…








あの幸が。


目の前にいる。





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