【実話】親愛なる幸せへの回り道
私は
一瞬にして固まった。
幸…
こんな風にして会えるなんて。
心の底から
彼の名を叫びたいくらいだった。
でもここは塾。
ましてや、
菜々子の好きな人がいる前で、
菜々子の友達である私が
いきなり叫びだしたら
変に思われてしまうだろう。
そう思って私は
開きかけた口を閉じた。
そして幸は
ゆっくりと先生のそばにいく。
『寺山幸です。
臨時ですが
よろしくお願いします。』
そういって微笑む彼は
全く変わっていなかった。
やはり女子たちからは
ひそひそと黄色い歓声が
飛び交う。