冥王の花嫁
その戦車は此方にむかい駆けてくる。
一体何が起ったのか、考える暇もなく―――
「キャッッ!!」
すでに戦車は目の前に来ており、コレーはすれ違いざま何者かに腕をつかまれ引き上げられた。
おそるおそる目を開け前を見やると、そこには漆黒の衣装を身にまとった黒髪の男。
その男は黒布を目深にかぶっており、肩ほどまで伸びた黒髪が少し見えるだけで、顔は見えない。
「あ…あなたは何者ですか…?一体なぜ―――」
コレーの言葉は途中でさえぎられた。
目の前は真っ暗。
男に強く抱きしめられたのだ。