冥王の花嫁
―兄と弟
「あれは……なんと美しい娘……」
それは、久々に地上へ見回りへ来たときのこと。
1人の少女が数人のニンフたちと花を摘んでいた。
薄い金色の少し癖のある長い髪、紫水晶をそのまま埋め込んだような美しい瞳、ぬけるような白い肌。
今まで見たことも無いような美しい娘。
『ねぇコレー、このお花どう思う?』
『まぁ、とても美しいわ』
こぼれんばかりの色とりどり花を手に、笑顔で答える少女。
―彼女の名はコレーと言うのか…―
声も鈴の音のように美しい。
「花のように愛らしい娘だ――だが、私には彼女は眩しすぎる」