冥王の花嫁
「はぁ……」
闇にのみこまれそうな小さなため息。
「ハデス様、どうなされたのですか?最近そのようなため息ばかり……何か悩み事でも?」
そう言った女は彼の忠実な部下、ヘカテ。黒目黒髪の美女だ。
「そのような訳ではない 気にするな」
"悩み事"か……確かにそうかもしれない。地上であの娘を見てからずっと忘れられずにいる。
むしろ その思いは段々大きくなってゆく。
「私に嘘が通用するとでも?本当の事をおっしゃって下さい?」
「そなた……我に意見するのか……?」
今は誰にも話したくない