思い出の味
プロローグ
「まほ、おっきくなったらおばあちゃんとおそうざいやさんになる!!」
あぁそうだ。
小さい頃、わたしの夢は決まって一つだった。
おばあちゃんの営む小さなお惣菜屋が大好きだった。
いつも煮物のいい匂いがして
通りに面したガラスのショーケースには
作りたてのお惣菜が並んでいた。
肉じゃが、筑前煮、天ぷら、かき揚、ポテトサラダ。
老舗料亭の味には到底及ばないけど
おふくろの味ってこんなかんじなんだと思わせるようなやさしい味。
もう一度食べたい。