思い出の味

「おばあちゃん、弁当ちょうだい。」

朝からバカに元気な声が響く。

顔を見なくたってわかる。
近所に住んでる幼馴じみの翔だ。
お母さんが看護婦で忙しいらしく弁当がない日はいつもここで買っていく。

お弁当を持っている日でもここへ寄っていく。
そんな日はたいてい・・・
「麻穂、学校いくぞ。」

私は弁当と同等か。

翔は小学校でいじめがあった時、
不登校になりそうな私をいつも迎えに来てくれた。
その習慣が今も続いている。

クラスも違うし、付き合ってるわけでもないのに。


毎朝翔と登校する時間。
たわいもない話をして学校へ行くわずか15分。
その時間がとても好きだった。

また悪夢が始まるまで。
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