思い出の味
崩壊
「麻穂、おはよっ。」
「今日も仲良しだねぇ。」
一番仲のいい莉乃と未宇の声がした。
「別に仲いいってわけでも。」
「はいはい照れちゃって。」
これもまた毎朝のように繰り広げられる会話。
HRの前まで繰り広げられる友達とのおしゃべり。
これが平和の光景。
ガラッ。
ドアが開いて先生が入ってくる。
みんな一斉に席に着く。
「おはようございます。今日はみんなに転校生を紹介する。はいって。」
教室中がわっとわいた。
みんなが入口に注目する。
そして入ってきた転校生に目を奪われた。
かわいい。
色白の肌に、少し茶色がかった髪。
「はじめまして、遠野つばさと言います。今日からよろしくお願いします。」
つばさちゃんかわいい。
バカな男子が大声を上げる。
「私の両親、こないだ駅前にできたイタリアンレストランをやってるんで、もしよかったら食べに来てください。」
にっこり笑った顔がまたかわいい。
休み時間あっというまに人が群がった。
そして帰りまでにつばさはクラスで一番力のあった女子のグループに入っていた。