狼さんの好きな人
「俺の両親はいないぞ?」


「え…?そうなんですか?私、知らなくて…」


ひよりの表情が一気に暗くなった。


コイツ、勘違いしてるな…


「死んでねぇから。今、仕事で海外を飛び回っているんだ。」


「そうなんですか?よかった…。じゃあ、今は家に一人で住んでいるんですか?」


「いや、俺を世話してくれている人と住んでる。」


「へぇ…、そうなんですか…。お世話する人がいるなんて、お坊ちゃんみたいですねぇ。」


あながち外れてはいないけどな。


「まぁ…。と、いうことで金曜日泊まりに来いよ?」


「わかりました。あ、そうそう。エッチなことはナシですからね?」


「あぁ…」


多分…な。


保証はできねぇが…。


「おーい!!ひより〜ッ!!」


「お兄ちゃん…」


制服を着た郁斗がコートに入ってきた。


.
< 130 / 411 >

この作品をシェア

pagetop