狼さんの好きな人
「ヤッてねぇよ。ひよりがいいって言うまで我慢するって決めたし。」


郁斗は、俺の胸ぐらをパッと離した。


「ふーん…。お前さ、いつからひよりのこと知ってたんだよ?お前を見る限り遊びじゃないってことはわかったけど…。付き合うにしては、日が浅過ぎるだろ。」


…………。


「小さい頃からだよ…。ひよこ(モジャ男の妹)が死んだ一年後、公園のブランコで物思いに耽ってたらひよりが俺に近づいてきたんだ。飴をあげるから元気出しなよってね。最初は、驚いたよ。ひよこにそっくりだったから。ひよこが生き返ったんじゃないかって本気で思った。それから、ずっとひよりのことが気になってた。あ、言っとくけど妹の代わりなんて思ってねぇからな。」


「…………。そんなにお前の妹とひよりは似てたのか?」


「あぁ。双子じゃねぇかと思うくらいに…。郁斗は、俺の妹に会ったことなかったよな?小さい頃から入院してたもんな…」


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