狼さんの好きな人
「バカですね。」


一刀両断だな。


雅人、めちゃくちゃ凹んでるぞ。


「ちょ…咲ちゃん…ピンキー先輩が…」


ひよりが困った顔をして、雅人に近寄った。


「ピンキー先輩…」


「ひよりちゃん…。俺、もう立ち直れないかも…」


「ピンキー先輩。咲ちゃんは、先輩を嫌いって言ったわけじゃないんですよ?バカだって言ったんです。自分の言葉できちんと伝えたらどうですか?きっと咲ちゃんに伝わるハズです。」


「ぅん…。」


雅人は、よろよろと立ち上がると咲ちゃんがいるところへ歩いて行った。


「咲ちゃん…」


「はい。」


「俺、ずっと咲ちゃんを抱き締めたかったんだ。だけど、枢が言った通り嫌われそうで怖かった。」


「そんなこと最初から言えば良かったんですよ。」


「じゃあ、抱き締めていい?」


「嫌です。」


…………。


咲ちゃん、そんな満面の笑顔で拒否るとは…


恐るべし。


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