狼さんの好きな人
「強引にひよりを彼女にした。」


「あははッ、ウケる!!お前が強引にねぇ。ヘタレかと思ってたけど、そうじゃなかったんだな。意外と肉食系なんだな。」


「うるせぇよ。つーか、和也。さっき、俺のこと若って言ってたな?何なんだよ?しかも、敬語。気持ち悪ぃ。」


「最近、任侠モノにハマっててさぁ。どうだった?いい気分した?」


「いや、特に何も感じなかった。」


「つまんねぇな。」


和也は、そう言うとプイッと外を向いた。


「和也は、枢のコトが大好きだからなぁ。楽しんで欲しかったんだよ。」


「べ、別にそんなんじゃねーょ…」


後部座席からでも、和也の顔が真っ赤になっていたのがわかった。


「和也、悪かったな。」


「謝んなよ。余計、惨めじゃん。つーか、郁斗は?お嬢熱があるんだろ?」


「アイツの両親、俺の父さんと母さんに会いに行ってるらしいんだ。それに、郁斗自身も夜遅くまで見回りがあるから俺が預かったんだよ。」


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