狼さんの好きな人
「美味しいです」


「そうか。そりゃ良かった…」


モジャ男は、嬉しそうな顔をするとまたお粥をレンゲで掬い私の口に近づけた。


もしかして、モジャ男がお粥を作ったんじゃ…?


「あの…」


「ん?」


「枢が作ったんですか?卵粥…」


「まぁ…」


「枢も料理できるんですね…。私、ホント料理だけはダメなんです。ママがいない時は、お兄ちゃんがご飯を作ってくれるんです。掃除、洗濯はできるんですけど…」


「料理できるって言っても、ある程度だ。普段は、家政婦サン達に作ってもらってるからそれ食べてる。」


「家政婦サンがいるんですか!?めちゃくちゃお金持ちなんですね…」


「俺んちは、代々製薬会社やってんだよ。父さんが社長で母さんが研究所長。世界中に研究施設があるもんだから、両親は海外を飛び回っているんだよ…」


すげぇ…


「ウチと次元が違いますね…」


「お前んちだって、両親は医者だろ。」


…………。


「ウチは、本当に医者か怪しいですからね…」


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