狼さんの好きな人
暫くすると、モジャ男が水枕を頭の下に置き額には冷えぴたを貼ってくれた。


「ありがとうございます…」


「あぁ。できるだけ早く戻ってくるからな。」


「はい…」


モジャ男って、世話好きだったんだ…


何だか、ママみたい…。


今頃、パパとママはまだ飛行機に乗ってるんだろうな…


何だか急に会いたくなってきた…


寂しい…


こんな時に限ってお兄ちゃんもそばにいないなんて…


いつもは、ウザイくらいに引っ付いているのに…


…………。


お兄ちゃん、私が養女だって知っていたのかな?


知らなかったのは私だけ?


パスポートを取得するために手に入れた戸籍の写しが…


自分だけ血が繋がっていないことを証明するとは、思ってもみなかった。


パパとママに聞く勇気もなく、心の奥に留めていた。


二人に話してギクシャクした関係になりたくなかったから。


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