狼さんの好きな人
直也さん…


亡くなった今でも、モジャ男の妹さんを愛してるんだ。


私を、隠れて写真を撮ったりしてたのも…


きっと、私をモジャ男の妹さんに置き換えて見てたからじゃないのかな…


『直也…さん、どうか…幸せに…なって…』


『俺の幸せは、ひよこのそばにいること…』


そんなこと言ったらダメだよ…


『そんなの…無理だよ…。一緒に…前向いて歩こう?枢もいるし、和也くんもいるし、お兄ちゃんもいるし、私もいるから…一緒に前に進もう…』


直也さんは、コクンっと頷く とまた眠ってしまった。





そして、今に至るんだけど…


立つこともできないくらい、泣き崩れていた。


別に、直也さんに抱き締められてキスされたからじゃないし…


モジャ男の妹さんに、間違えられたからでもない。


ただ…


直也さんの気持ちが、痛いくらいに伝わったから…


愛する人を亡くした気持ちが。


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