狼さんの好きな人
「だから、死にそうなんですって。」


「ドキドキして死ぬヤツなんていねぇよ。」


「はい、先生!!」


シュパッと手を上げた。


「はい、月島ひより。」


私の名前、覚えててくれたんだ…。


「死にそうなヤツがここにいます!!」


「あぁ、大丈夫。お前は、強い。」


「強いって…意味がわかりませんよ!!」


「もう黙れ。着いたぞ?」


黙れって言われたし…。


モジャ男が持っているカゴに、シャワー室に必要なものを入れていった。


が…


右手を繋がれたままだ…。


私の利き腕は右。


左手でものを持つのは苦手。


「あの…先輩…。」


「ん?」


「いい加減、手を離して下さい。品物が取りにくいです。」


「ふーん。」


はい、会話終了。


すると、モジャ男は…


「必要なものと数を言え。俺が取っていくから。」


そう言って床にカゴを置いた。


あくまで手を離さないつもりですか…。


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