狼さんの好きな人
とりあえず、必要なものと数をモジャ男に伝えた。


「先輩、それで終わりです。」


モジャ男は、何も言わず私と手を繋いだままレジに向かった。


「あの…。いい加減離してもらえませんか?」


「仕方ないな。少しの間だけだぞ?」


えぇッ!?


また手を繋ぐ気ですか。


「先輩、私を殺す気ですか?私、心臓発作で死にますよ。」


「ん?大丈夫だって。そのくらいじゃ死なねぇよ。」


だから、死にますって!!


バッグから財布を取り出そうとしたら、モジャ男が支払ってくれた。


「先輩、悪いです。」


「気にすんな。後で郁斗に請求するから。」


そういえば、お兄ちゃんのこと呼び捨て…


「だったらいいですけど…。先輩、どうしてお兄ちゃんを呼び捨てにできるんですか?皆、さん付けなのに…。」


「あぁ、うちの両親とお前んちの両親が仲が良いんだよ。」


へ…?


.
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