狼さんの好きな人
そういえば、あの日の帰る間際…


『私、必ずひよりちゃんを守るからね。だって、ひよりちゃんのお姉ちゃんだもん。』


いきなり、お姉ちゃんがそんなことを言うもんだからびっくりしたけど…。でも、とっても嬉しかった。


『ありがとう。私も、お姉ちゃんを必ず守るからね。』


そう言ったのに…


「っ、ごめん…なさい。守るって言ったのに…。何もかも…忘れて…。私、最低だ…」



泣いたって、過去が変わるわけでもないのに…


涙が、どんどん溢れてくる。


お姉ちゃんが亡くなったのは、病気が原因であって私が助けられるレベルの問題じゃない。


だけど…


お姉ちゃんを覚えていたら、ただ毎日を何となく過ごしていくような…こんな生活を送らなかった。


もっと勉強して、お姉ちゃんと同じような病気の人を助けられる人間になれるように努力してた。


直也さんみたいに…


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