狼さんの好きな人

部室のﾄﾞｱをﾉｯｸすると、中からお兄ちゃんが返事をする声が聞こえてきた。


「お兄ちゃん、開けていい？」


「おー。」


ﾄﾞｱを開けて、中に入るとお兄ちゃんは制服から練習着に着替えている途中だった。


お兄ちゃんの着替えなんて、しょっちゅう見てる私。


構わず、自分のﾛｯｶｰを開けて洗ってきたﾋﾞﾌﾞｽを入れた袋を取り出した。


急いで戻らないと!!


ﾊﾞﾝｯと、おもいっきりﾛｯｶｰを閉めて駆け足でﾄﾞｱのﾉﾌﾞに手を掛けた瞬間…


「そんなに慌ててどうしたんだ？」


そう言って、いきなりお兄ちゃんに後ろから抱き締められた。


「ﾋﾞﾌﾞｽを取りに来ただけなの。体育館に持って行くの忘れちゃって。早く戻らないと、きっと枢に怒られる…」


「それなら大丈夫。ﾁｰﾑ戦は、俺が来てから始める。だから、そんなに急がなくてもいい。お兄ちゃんと一緒に行こう？」


.