狼さんの好きな人
「うん、わかった。」


「…ひより。」


「ん?」


「もう無理すんな…。ウチに帰ったら、お兄ちゃんが聞いてやるから。な?」


お兄ちゃんは、そう言うと私から体を離してドアを開けた。


家にいるときも普通にしてるハズなんだけどなぁ…。


そんなに、追い詰められてる顔してるのかな?


レンジ先輩にも心配されたし…。


「…大丈夫だょ。」


何が大丈夫なんだろう…


どうすれば、モジャ男とまともに話せるのかわからないのに…


どうすれば、モジャ男と前みたいな関係に戻れるのかわからないのに…


ただ、お兄ちゃんにもレンジ先輩にも迷惑をかけたくなくてつい強がってしまう。


「…はぁ。なら、まだ聞かないでやるよ。俺が、限界だと判断したら無理やりにでも話させるからな?」


「…わかった。」


「よし!!あ。思い出した。直也からの伝言。今度部活がない日に料理教えるから来いって。」


そういえば、あの日から直也さんと予定が合わなくて延び延びになってた…


「ん、わかった。ありがとう、お兄ちゃん。」


「おぅ。」


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