狼さんの好きな人
「でも、マスクつけてるし…」

「「帰れ!!ウチにも来んな!!」」

モジャ男に、ここまで怒鳴られたことなんてなくて ドアの前で立ち尽くしていると…

ガチャ…

ドアが開いた。

そこにいたのは、若い家政婦さんだった。

なぜ、この人がモジャ男の部屋に…?

「お帰り下さい。これからは、私が枢様のお世話 を致します。枢様にもお許し頂けました。」

「え…?」

「枢様もお熱を出されてお辛いのに、貴方に気を 遣わなくちゃいけないなんて…。貴方、風邪を引い ただけでヘタしたら死ぬかもしれない体なんで しょ?そんな体で、ここに来て皆様に迷惑をかけ 続ける気?」

「それは…」

「貴方の亡くなったお姉さんと同じね。せっか く、養女として伊集院家に引き取って頂けたのに 入退院を繰り返して奥様に迷惑をかけるだけかけ て亡くなるなんて。奥様の研究家としての時間を 返して欲しいくらいだわ。せめて、生きて政略結 婚でもしてくれたのなら恩返しにでもなるのに。 」

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