狼さんの好きな人
金曜日の昼休み。


相変わらず、一人でベンチに座っていた。


お兄ちゃんと約束した通り、今日の放課後モジャ男の家に行く。


だけど…


今、物凄く逃げたい。どこか、遠くへ行きたい。モジャ男の話なんて聞きたくない。


だって、彼の言葉が全てだから。


モジャ男から、好きな人ができたから別れてほし いって言われたらそれに従うしかない。


いくら、私がモジャ男のことが好きだと言っても彼には伝わらないだろう。モジャ男の中では、私との関係は終わったものになってるから。


………はぁぁぁぁ。


まるで、判決を言い渡されるのを待っている被告人みたいだ。


「…溜息深すぎ。」


その声に、ハッとして顔を上げるとレンジ先輩が私の隣に座った。


相変わらず、綺麗に染められたオレンジ色の髪 だ。


「レンジ先輩…久しぶりですね。元気にしてましたか?」


「おー。ひよは…って、前より酷い事になってんじゃん。なんつー顔してんだよ。」


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