狼さんの好きな人
学校に着くと、既にモジャ男が一人で練習をしていた。


モジャ男頑張るなぁ…。


「お兄ちゃん、枢っていつも早く来て練習してんの?」


「うん、してるな。」


「余程、暇なんだね…」


「暇で悪かったな…」


へ…?


後ろを振り返ると、モジャ男が私を見下ろしていた。


さっきまでシュートの練習してたじゃん…。


「いつの間に…。どんだけ足が早いんですか。」


「俺、短距離早いから。」


「へぇ〜…」


「お前、興味なさそうに答えるなよ…」


モジャ男は、呆れた顔をして言っていた。


「おーい、ひより。早く来い。」


「はーい。」


お兄ちゃんの後を追って部室に入ると、まだ誰も来ていなかった。


「ひより、今のうちに着替えろ。」


「お兄ちゃんと一緒に着替えろと?」


「別に問題ないだろ。裸になるわけじゃないんだから。早くしないと皆が来る。」


「わかったよ…」


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