狼さんの好きな人
「なんか…」


「なんだよ?」


「枢が優しくなった…」


「俺、彼女には優しくするぞ?」


「へぇ…」


なんか、嘘くさい…


「なんだよ、その顔…」


「嘘くさいな、と思って。」


「なんだよ、嘘くさいって…。いろんな女に優しくするよりマシだろ?」


「かなりマシですけど…。」


「早く持って行くぞ。」


「あ、はい。」


スクイズボトルを持って体育館に入ると、モジャ男にお礼を言った。


「ありがとうございました。」


「いいよ。」


「なんか、枢…優しくね?」


そう言ったのは、ピンキー先輩だった。


ピンキー先輩は、凄く可愛らしい顔をしていていつもニコニコしている先輩だ。ちなみに、お兄ちゃんと同じ三年生。


「ピンキー先輩…」


「ひよりちゃん、ピンキーって何?」


「髪の色がピンクですから。緑色の先輩はミド先輩で、オレンジ色の先輩はレンジ先輩。」


「まぁ、わかりやすいっちゃわかりやすいけど…。なんで、オレンジだけレンジなの?」


「オレンジレンジ。」


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