狼さんの好きな人
お兄ちゃんは、いつものように私をクラスまで送ると…


「じゃあな、また昼休み。」


「うん、またね。」


「あぁ。」


私の頭を優しく撫でてから自分のクラスに向かって歩きだした。


クラスの男子生徒から「郁斗さんカッケー」という言葉が次々と出ていた。


お兄ちゃん、残念。


女の子から一言もカッコいいって言われてないよ…。


「ひよ、おはよう。」


「あ。おはよう、咲ちゃん。あのね、お昼お兄ちゃんも一緒に食べたいんだって。大丈夫?」


「いいわよ。私、学食のメニューが食べられればいいから。」


「そ、そうなんだ…。あのね、私…ついに彼氏ができたんだよ?」


その瞬間…


クラスがシーンと静まり返った。


へ…?


な、何…?


私、変なこと言った?


「ひよ、それ本気で言ってんの?」


それを聞き付けて頼ちゃんも寄ってきた。


「ひよちゃん、本当!?」


.
< 96 / 411 >

この作品をシェア

pagetop