BLACK PRINCE
―――――…‥‥
「ほら。300万。」
給料をピザ屋のバイト時代から、あまり使わなかった俺は、貯金がかなりあった。
あの後、営業を終えた俺は久しぶりに静香の部屋に来ていた。
静香は、細い体を小さく震えさせながら、
「ごめんなさい…‥ありがとう…。すぐ、返すから……‥。」
と言った。
「いいよ。返さなくて。じゃあ。」
そう言って部屋を出ようとした時、ドアが開いた。
「………‥誠‥‥。」
静香が入って来た男の名前を呼んだ。
その男は俺より少し背は高いけど、体は俺より細かった。
誠という男は、俺を見て微笑んだ。
俺は頭を少し下げ、部屋を出た。