12月になれば


ほかの部員もほぼ揃っていた。


「あぁ、矢都。ええとこに来たわ。もう1年生の希望者、何人か来てるから3-7の教室へ一緒に行ってくれへん?カンディも。後の子は練習しといて。後で1年生に順に見学させたいから。」


西先輩は私と、私の横に居るカンディの方を交互に見ながら言うと、足早に部室から出て行こうとする。私はカンディと目が合う。


カンディ…本名は大野志保(シホ)。小学生の時に付いたあだ名らしいけれど、小学6年の時、隣の校区に住むカンディと塾で出会った時には既にカンディは『カンディ』だった。


今では誰もがあだ名で呼ぶ。


彼女とは中学3年間同じ部で、初めは楽器も同じトランペットだったけれど、人数が足りないという理由から、「別にいいよ。」と軽く言って、今はトロンボーンを吹いている。




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