12月になれば
男の子がそう言った瞬間、ギラン!と西先輩とカンディ、私たち3人の目が光る。
男の子だ!逃がすな!瞬時に目配せをした私たちは口々に質問する。
「名前は?」
「中学で何か楽器やってた?」
「希望楽器とか、ある?」
これ以上無いって位の笑顔で聞く私たちに、
「羽坂瑛治(ハネサカエイジ)です。中学ではサッカー部でした。ピアノ希望なんスけど…。」食い入るように見る私たちに対して、彼は質問の一つ一つに丁寧に答えていく。
「ピアノ弾けるん?」私が聞くと、イイエ、でも少しなら。と瑛治は答えた。