ヤンキー
―ガチャ

『あら、真由チャン、今日は帰り早いのね』

「・・・」


家に帰ると、お父さんの姉、つまりあたしの伯母が来ていた

『真由チャン、お菓子あるけど、お部屋に持って行こうか?』

「・・・・」

『じゃ・・・じゃぁ持ってくわね』


あたしはいつものようにムシして、自分の部屋に入った


「マジウゼェんだよ!」


苛立ちを隠せないあたしは、何十回殴りつけたか分らない壁を思いっきり殴りつけた。
もう壁には沢山の傷が残っている・・・・


「はぁ・・・」


あたしの口からはこの日何度目かのため息が漏れた・・・・・

―コンコン


『真由チャン?お菓子、持って来たわよ・・・ジュースも・・・開けてくれない?』


あたしはムシした


『真由チャン!いい加減にしてちょうだい!もう・・・・新太郎の娘・・・2人とも良い子だって聞いたから引き取ったのに・・・あなたは何にも良い子じゃないじゃない!』


その瞬間、あたしの中の何かが狂った・・・・


『お菓子、ココに置いとくからね・・・・食べないなら台所に持ってきてちょうだいね・・・伯母さん、チョット出かけて来るから・・・・』


あたしは自分自身をコントロールできなくなっていた・・・・・


「チョット・・・・」


化粧台で化粧のチェックをしてる伯母の後ろで、あたしは生まれて初めて声をかけた


『何?お菓子なら、ドアの前に・・・・』


後ろを振り返った伯母の顔は、みるみる青ざめていった・・・・


「ごめんなさいね・・・良い子じゃなくて・・・」

『あ・・・あれはじょ・・・冗談に決まってるでしょ?ほ・・・本気にしないでよね・・・じょ、冗談が通じない所は新太郎似ねぇ・・・・』

「誤魔化さないで!みんな、あたしだけ悪者にして・・・そんなに良い子が欲しいなら、あたしを捨ててお姉ちゃん引き取れば良い話でしょ?!」

『真由チャン・・・・』


伯母さんは目に沢山の涙をため、あたしに


『もう・・・疲れたわ』


と、呟いた―

それから1週間後、あたしの家から伯母の姿が消えた・・・・
あたし・・・また・・・・


「捨てられたんだ・・・・」



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