望遠鏡
four
1日の授業が終わり、深春はそわそわとし始めた。
「え、何、どうしたの?」
と、美代。
「今日ついに一緒に帰る約束したの!」
「へぇ。って遅くない?
いつもだったら初日から一緒に帰ったりお弁当食べたり」
「今まで付き合った人の中では珍しくシャイな人でね、
なんか今回は長く続きそうな気がする!」
そうこう話していると、「深春ちゃん、」と控えめな声が。
振り向けばそこには深春の新しい彼氏、松中彰(まつなかあきら)が立っていた。
1つ上の学年の3年生だ。
「あ、先輩!
帰りましょー。
じゃぁね美代、また明日!」
彰のもとに小走りで行く深春の背中を見ながら、
美代は彰のことも遠目で見る。
なんか、うさんくさい…。
そんなことを思いながらも、がんばる気になっている深春を止めるのも気が引けたので、そのまま2人を見送った。