望遠鏡
「よーしーたーかーっ!!」
勝手に芳隆の家に上がりこんだ深春は、
ベッドの上で音楽を聞いていた芳隆に突っ込んだ。
「うわっ!?」
ヘッドフォンをはずしながら、芳隆は身を起こした。
「なんだよ深春、もう失恋したのか」
「違うよ!!」
「じゃぁなんだよ」
「彰先輩、すっごく優しいのー!
今までの人とは比べ物にならないくらい!」
深春は今日1日を回想し始めた。
初めての同じ帰り道、深春達はカフェに立ち寄ったらしい。
始終レディーファーストな彰に、深春はとても感動したというのだ。