望遠鏡
five
ある昼休み、深春は彰とお昼ごはんを一緒に食べるようになっていた。
相変わらずのレディーファーストや、優しい物腰で、
順々に段階を踏んでいく彰の今までにない対応が、深春に新鮮さと安心を与えていた。
彰なら、今までのようにすぐに別れたりしない。
彰なら大丈夫、と。
しかし。
「ねぇ、1つ聞いてもいい?」
彰が突然そう口を開いた。
その声が少し真面目だったので、深春は口の中のものをごくんと飲み込み、彰のほうへ向き直る。
「うん、何?」
「深春ちゃんさ、朝いつも男と学校に来てるだろ?」
「あぁ、うん。
芳隆のこと?」
彰はこくりと頷いた。
「彼は、幼なじみなんだっけ?」
「うん、そうだよ。
小さい頃から仲良しで、」
その続きを話そうとしたが、彰の言葉に遮られる。