望遠鏡
「なんかあの先輩、うさんくさかったから、気になってたんだ」
「そうなんだ、ありがとう」
あ、というように美代は話を変える。
「そういえば。
深春から振ったのって初めてじゃない?」
深春は目をぱちぱちさせて、そういえば、と手を叩く。
今までは深春は付き合い始めもそうだが、別れるときも相手からであった。
告白されればOKしてしまう深春は、高校に入ってから彼氏の数は一気に増えた。
そのため、体目的の男も多く、それを深春が嫌がると、
「なんだよ純情ぶって。
今まで相当遊んできたんだろ!」
などと不条理なことを言われてしまっていたのだ。