望遠鏡
six
深春がまた別れてしまったという話は、すぐに耳に入った。
芳隆は、今日もまたきっと深春がやってくるだろうと思い、自室で身構えて待っていた。
頼まれたわけではないが、それが芳隆の日課になっていた。
しかし、いつまで経っても深春はやってこない。
もう学校はとっくに終わっている時間だというのに。
これはおかしいと思った芳隆は、腰をあげて玄関に向かうと、
ピン ポーン、
と、控えめなチャイムが鳴った。
誰だろうかと玄関のドアを開けば、そこにいたのはなんと深春であった。