望遠鏡
眠ってしまったのはほんの1時間だったようだが、
外に目をやればもう日も暮れかけていた。
深春はゆっくりと体を起こし、芳隆に目を向ける。
ベッドの脇で芳隆も目を閉じていて、どうやら眠っているようだった。
「もう、こんな時間だ…」
深春は、芳隆を起こさないようにゆっくりと立ち上がる。
話を一方的に聞いてもらった手前、
寝ている芳隆を起こしてしまうのは気が引けたのだ。
芳隆の部屋を静かにあとにして、深春は玄関へと足を進める。
と、そこで、芳隆のお母さんと出くわした。