望遠鏡
two
次の日、失恋で落ち込んでいたはずの深春は、
昨日の姿が嘘だったかのように元気になっていた。
これもいつものことである。
そんな深春を見て、芳隆は「はぁー」とため息をついた。
「なぁ深春、」
「ん?なぁに?」
「おまえ、失恋して1日で復活するとか早すぎんだろ」
学校までの道のりを、2人は昨日の話をしながら歩いていた。
小学校、中学校、高校とずっと同じところに通っているため、
毎朝一緒に登校するのが習慣になっていた。
「だって、昨日のうちに彼との思い出分泣いたから、もう平気だよ!
早く次の恋を見つけたいな」
深春の言葉に、芳隆はげんなりというような表情を見せた。
「おまえも懲りない奴だなぁ。
毎回俺のとこに泣きついてきてるくせに」
「だってほら、あれは、一種の儀式っていうか…」
深春は痛いところをつかれた、と目を泳がせる。