望遠鏡

three


「間嶋君も大変だね」


深春に彼氏ができて数日、その情報は、
失恋したときよりも早く広まっていた。

クラスでは1番仲のいい浅田美代(あさだみよ)は、
深春が口の中にごはんをほおばると同時にそう声をかけてきた。

深春は、美代の言わんとすることが分からずに、
頭にはてなマークを浮かべる。


「え、なんで芳隆が大変なの?」

「あんたが失恋するたびに、あの、なんだっけ…
“儀式”するんでしょ?」

「うん」

「でも深春、すぐに別れるじゃない」

「う…ん、まぁ、今まではね」

「また彼氏できちゃったから、別れたとき、かわいそうだな、と思って」


ようやく美代の言った言葉の真意が汲み取れた深春は首を横に振る。
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