甘い君に溺れて



「……………」



空也は何も言わない伊集院から視線を外した。



「ちあき、家入るぞ。」



「はぁーいっ♪」



ちあきは家に入ろうとしたが一瞬ピタリと止まって、伊集院の方を見てにっこり笑ってから家に入った。



空也は誰が見ても作り笑いと分かるような笑みを伊集院に向けた。



「じゃあおやすみなさい。」



―パタン…―



「奪ってみせる…!!」



「ちあきは絶対渡さない…!!」



二人の男の間に熱い火花が散ろうとしていた。



その真ん中にいるちあきはと言うと、玄関で靴を脱ぐ途中で眠くなったのか、倒れ込むような体制ですやすやと眠っていた。



「ちあき…
何でいつも何も言わないんだよ…」



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