囚われの姫君
「いい加減認めたら?」
「絶対認めない!」
羽依があたしにふうちゃんを好きなことを認めろってうるさい。
なんで好きにならなきゃいけないのよ。
「素直になりなさい。」
「十分素直です。」
「あんたはバカ正直なだけでしょ。」
口の上手い友達を持ったものだ。
勝てそうにない。
「ならとっておきの情報もいらないね?」
ニコッと怪しげな笑みを浮かべた羽依。
そんな笑い方されると気にる。
「何?」
「認めないと教えない。」
どうしても認めてほしいのか。
「彼女がいるからはっきり言えないんじゃないの?」
……
ちょっぴり図星。
自分でも薄々気付いていた。
でも認めたくなくて封印していた。
出会ってたったの1ヶ月。
彼は確実にあたしの心を持っていった。
「楓真くん、今はフリーだよ。好きな子ができたんだって。」
相変わらずニコニコしている彼女。
「流花だといいね。」
その言葉を残して彼女は去っていった。