【短】KISS


「オレさ

そういう未夢の夢

壊したくなかったんだ。」



ケンちゃんが

わたしに背中を向けて

話し出す。



つめたい風のせいか

耳の奥が痛い。




「オレにとって

未夢はお姫様なんだ。


でも

未夢にとっての王子様って

オレでいいのかなって。」




オレ、

まだ未夢に片想いしてるみたいだ。



そう言って

ケンちゃんは切なそうに笑った。



今度は

こころの奥が痛くなる。




違うんだよ。


違うの、ケンちゃん。




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