気まぐれ猫
 次の日も司は相変わらずだった。
「なあ、司。ちょっと根詰めすぎじゃないか?」
「普通じゃない?」
 司が素っ気なく答える。
 宏樹は勉強に飽きたと言って帰ってしまい、祐輔は今日はもう帰ってしまって、今は二人で教室に残っている。
 二人のいない空間はなんだか静かだった。
「……勉強、そんなに大事?」
 俺がそう言った瞬間、司は静かに俺を睨みつけた。どうやら地雷を踏んでしまったらしい。
「当たり前でしょ?進学校にいるんだから」
「そっか……」
 俺はそれ以上何も言えなくて、黙ってしまった。
「俺帰る」
 司が大きな溜め息をついて、勉強道具みカバンにしまいはじめた。
 司はそのまま何も言わずに教室を出て行ってしまった。
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