気まぐれ猫
 祐輔と宏樹は、何にするかをまだレジの前で悩んでいた。
 その間に俺と司は席を見つけて、座った。
「……あのー」
 司が申し訳なさそうに切り出した。
「……この間はごめんなさい」
 今の司があまりにも普通すぎて、一瞬何のことを言っているのかわからなかったが、すぐに思い当たった。
「いいよ」
 俺は笑った。
 すると司も安心したのか、フッと笑った。
「昔から父親にはずっと期待されてきたんだ」
 司はおもむろに話始めた。
 その向こうでは二人のケンカする声が聞こえた。
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