気まぐれ猫
 次の日学校へ行くと、司の顔が絆創膏だらけだった。
「えっ」
「どうしたんだよ、司!?その顔」
 司が言いにくそうに口を開いた。
「……父さんとケンカした……」
 司はそう言って、俺の方をチラッと見た。そしてツカツカと俺の方に向かって歩いてきた。
「なっ、何?」
「ちゃんと自分のやりたいこと言ったから!」
 司は俺にそう言うとニカッと笑った。
「やったじゃん!」
 俺と司はバカみたいにはしゃいだ。
「なんだよ!二人だけズルいぞ!」
 いつも通り、宏樹がむくれて、俺達に絡んできた。
「……またか」
 祐輔はボソッと俺の耳元で呟いた。
 でも俺は、こんな気分になれるならお人好しも悪くはないと、本気で思った。
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