気まぐれ猫
 「ごめんね、わざわざ来てもらって」
「いえ」
 お兄さんはイキイキとした笑顔で学校から出てきた。よっぽど楽しかったらしい。「優希くんも心配してるかと思ったから」「そりゃあ心配しましたよ」
「学校はどうだった」
 猫が、あまり見たことのない笑顔で言った。まるでお母さんみたいだ。
「楽しかったよ。もう友達もできたしね」 それから二人は俺をバス停まで送ってくれた。
 その道中、お兄さんはずっと今日あったことを話してくれた。
 途中、何度も猫にはしゃぐなと注意されながらも、終始楽しそうだった。
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