気まぐれ猫
 俺と猫は、お兄さんが搬送された病院へ来た。
 病院に着いて見たお兄さんは呼吸器をつけて、眠っていた。
「なんで……」
「……走ったんだって。それを見てた人がいるんだ。友達とはしゃいで走ったって……。そしたら苦しそうに倒れたって……。発作が起きたんだ」
 猫はさっきとは打って変わって冷静に説明した。
「……やばいんだって……」
 猫が泣きそうな顔で笑った。
 こんな時にと思ったが、猫のその顔はつい見とれてしまうほど綺麗なものだった。「少し休めば?ここには俺がいるよ」
 そう言うと猫は驚いた顔で俺を見た。でもすぐに柔らかく笑ってありがとうと言った。
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