気まぐれ猫
 次の日、夕璃は学校に来なかった。
「どうしたんだろうね」
「聞いてみる?俺、隣のクラスに同じ部活の奴いるよ」
 宏樹が隣のクラスに行ってくれた。
 でも、戻ってきた宏樹はなんだか慌てていた。
「……三崎……忌引きだって……」
 俺はすぐに夕璃の担任の所に行った。
「先生!夕璃、忌引きって……」
「ああ、なんかお兄さんが亡くなったって」
「優希!」
 遅れて三人が来た。
「……お兄さんだって……」
 誰も何も言わなかった。
 まだお兄さんが死んだなんて信じられない。
 だって昨日だってお兄さんのお見舞いに行って、笑って、いっぱい話したんだ。ありえない。
 俺はなんとか先生を説得して、夕璃の住所を聞き出した。
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