気まぐれ猫
学校が終わると四人で夕璃の家に行った。
夕璃の家は純和風の家だった。玄関は引き戸で、桜の木のある大きな庭があり、縁側もあった。
俺たちは入っていいものか躊躇って、仕方なく塀から覗いた。
「何してんの」
その声に驚いて振り向くと、夕璃だった。
「あ……いや……あの……」
「入れば」
なんと言ったらいいかわからないでいると、夕璃がしびれを切らしたのか、俺たちを家にあげてくれた。
「夕璃ちゃん、お友達も来てるし、ちょっと休んだら?」
奥からそう聞こえると夕璃が俺たちの所に来た。
「ごめん、いきなり……」
「いいよ」
よく見ると、夕璃の目が赤く腫れていた。
「……兄貴に会っていく?」
夕璃がそう言ってくれたので、俺たちはお兄さんの顔を見に行った。
そのお兄さんを見ても、死んでるなんて信じられなくて、ただ眠ってるみたいだった。
俺はそこから動くことができなかった。「優希、帰るぞ」
祐輔の声がする。
「いいよ。三人だけ、先に帰りな」
「悪いな」
みんなのやりとりは聞こえるが、本当にただ聞こえるだけだった。
夕璃の家は純和風の家だった。玄関は引き戸で、桜の木のある大きな庭があり、縁側もあった。
俺たちは入っていいものか躊躇って、仕方なく塀から覗いた。
「何してんの」
その声に驚いて振り向くと、夕璃だった。
「あ……いや……あの……」
「入れば」
なんと言ったらいいかわからないでいると、夕璃がしびれを切らしたのか、俺たちを家にあげてくれた。
「夕璃ちゃん、お友達も来てるし、ちょっと休んだら?」
奥からそう聞こえると夕璃が俺たちの所に来た。
「ごめん、いきなり……」
「いいよ」
よく見ると、夕璃の目が赤く腫れていた。
「……兄貴に会っていく?」
夕璃がそう言ってくれたので、俺たちはお兄さんの顔を見に行った。
そのお兄さんを見ても、死んでるなんて信じられなくて、ただ眠ってるみたいだった。
俺はそこから動くことができなかった。「優希、帰るぞ」
祐輔の声がする。
「いいよ。三人だけ、先に帰りな」
「悪いな」
みんなのやりとりは聞こえるが、本当にただ聞こえるだけだった。