気まぐれ猫

　「おはよう」
　玄関で靴を履き替えていると、後ろから肩を叩かれた。
　ほぼ寝起きでボーっとしていた俺は驚いて、振り返った。
「司か。びっくりした。おはよう」
「びっくりしすぎだろ」
「俺、朝弱いんだよね」
　俺達は苦笑いして、教室へ向かった。
　昨日初めて話したはずなのに、まるでずっと友達だったみたいに盛り上がれた。
　教室のドアを開けると、二人はもうすでき来ていた。
　他の生徒たちは、まだ若干緊張している中、俺達は昨日のテレビの話や中学の時の話などで笑いまくった。
　ふと廊下に目をやると、昨日の女の子が歩いていた。
「猫だ」
　三人とも、何言ってんだみたいな目で俺を見ている。
「ち、違うよ。本物の猫じゃなくて、猫みたいな女の子を見たんだ」
　三人は一斉にああ、と納得してくれた。